スタートアップ・起業支援

情報教育を通じてすべての人に無限の選択肢を

お話ししてくれた方:石川 達也さん(代表取締役/会津大学在学中)、橋本 凌真さん(取締役/会津大学在学中)

会社名株式会社inf.
代表者石川 達也
業種教育
事業概要学校現場などへの出前授業(情報Ⅰ・プログラミング等)、教材開発、オンライン学習塾の運営、クリエイティブ作成(ホームページ・チラシ等)
設立2023年3月
所在地福島県会津若松市
企業サイト https://inf-juku.com/
UBICの支援
会津大学発ベンチャーの称号付与
UBIC研究開発室・ブース型オフィスの利用
先端ICTラボのプロジェクトルームの利用
先端ICTラボのリソースの利用
会津大学の住所を法人登記の住所として利用
起業相談
特許相談
その他

創業のきっかけ

情報の力で
未来を切り拓く

私たちは、地域ベンチャー創成支援財団・会津大学が共同で開催している創業関連の「座談会」を通して知り合いました。お互い親族が起業していて、「やりたいことがあるなら若いうちからやるべき」と言われて育ってきました。「やりたいこと・やるべきこと」は常に更新されるものです。 人間は、自分の知っている範囲の情報からしか選択できません。そのため、知ること・学ぶことは私たちの選択できる幅を広げ、選択肢を増やしてくれます。私たちが情報教育事業を始めたのは、情報教育で培われる「情報活用能力」が主体的な選択に大きな役割を持つと考えたためです。情報活用能力によって自分の世界を拡張し、選択肢を増やすことで、興味関心をもとにした主体的な選択が可能になると考えました。「都市と地方の情報格差を解消」し「情報社会を安全かつ上手く渡り、自分の世界を広げて自由に選択し、主体的に生きることのできる社会」が実現したら素敵じゃないですか。会津大学在学中の起業は「自分たちが成長できる場・学びの場」を求めた結果です。

創業時に工夫したこと、大変だったこと

学業との両立、
組織運営の難しさを実感

起業のタイミングとしては学生時代の今が一番失うものが少ない時期だと思います。私たちの事業は自分たちと友人たちの協力で成り立っており、従業員を雇っているわけでも、養うべき家族がいるわけでもありません。ただ、大学の授業との時間的な両立は大変でしたね。自分のすべてのリソースを事業、もしくは学業に集中できないもどかしさを感じながら活動していた時期もありました。また、社会経験がなく起業したので、組織運営や連絡、業務の進め方、バックオフィス、手続きなど全てが手探り状態でした。チームビルディングに関しては協力メンバーのモチベーションを保つという部分で苦労しました。

現在の状況

壁に当たるも
教材のデザインが評価され

2022年度から全国の高校で「情報Ⅰ」という科目が加わったことなどが追い風となり、福島県内の高校や中学などでの出前授業や教材作成、オンライン学習塾を行っています。そんななかで、ある団体から高校生向け教材開発の協力依頼があって参加することになりました。教材は対話型で学べ、イラストを多く取り入れました。高校への導入を目指したのですが、大手企業の参入などもあり採用されませんでした。しかし、私たちが作った教材のデザインは高く評価され、現在は高校向け教材(ワークブック)などのデザイン業務のほか、各種クリエイティブ(ホームページ・チラシなど)の制作を受けています。

創業してよかったこと・今後の目標

すべての経験を
自分たちの成長の糧に

起業することで大学生活では出会うことのない方と知り合い、お話しすることができました。いろいろな方の多彩な考えに触れた経験は間違いなく自分たちの成長につながっていると思います。私たちはこれから大学のプログラムで5週間の留学に行く予定があります。現地では、スタートアップ企業やベンチャー企業にインターンとして入り、異なるビジネスの現場を経験する予定です。帰って来たら、おそらく自分たちの事業も変化するでしょう。先にも触れたように、この会社は僕らが学ぶための場でもあります。「やりたいこと・やるべきこと」を更新しながら、自分たちも成長し続けていきたいと思っています。

取材・撮影場所:会津大学 学生食堂・コミュニティスペース

※記事の内容は取材当時のものです

みんなが楽しく生きていける心の健康づくりを

お話ししてくれた方:橋本 志穂実さん(CEO)

会社名株式会社ブランチズム
代表者橋本 志穂実
業種システム開発
事業概要アプリ開発・運営/Web開発・開発支援/イベント運営/コミュニティ運営など。「境のない世界の実現」がビジョン。
設立2021年12月
所在地福島県会津若松市
企業サイト https://branchism.com
UBICの支援
会津大学発ベンチャーの称号付与
UBIC研究開発室・ブース型オフィスの利用
先端ICTラボのプロジェクトルームの利用
先端ICTラボのリソースの利用
会津大学の住所を法人登記の住所として利用
起業相談
特許相談
その他

創業のきっかけ

心の健康に
役立つ技術を形に

学部ではヘルステックの分野を研究してきました。健康百年時代を目指す取り組みはたくさんありますが、私は心の健康を百年まで延ばすことを目指しています。私自身、コロナ禍で社会から離れた時期に、心身に不調をきたす経験をしました。そんなとき、人と関わる機会があったことで自分のリズムが戻るのを感じました。決まった時間に誰かと挨拶をする、などといったささいなコミュニケーションで日常に変化がありました。社会や人とのつながりの大切さを痛感したことは、学生に向けたローカルアプリ「Splannt(スプラント)」開発するきっかけになりました。

※現在はサービスの提供を停止しています

創業時に工夫したこと、大変だったこと

足りないことだらけ、
でも実現したいビジョンはある

「Splannt(スプラント)」は友達や知り合いに好評で、企業で働く方々から事業にすることを勧められたのが起業のきっかけです。社名の「ブランチズム」とは「枝わかれ主義」のこと。枝分かれのように色々なサービスを展開していきたいという思いで名付けました。いざ動き出してみると、資金不足・経験不足・人脈不足は明らかでした。プロダクトは多く作ってきましたが、それをユーザーに届けてお金に変えることが難しいと感じました。そこで「私たちは若者のメンタルヘルス問題を解決したいです」と、自分たちのビジョンや想いを武器にしてあちこち回りました。結果、やりたいのは「人と人をつなぐこと」だと再認識し、「自分の方法で少しずつでもいいからやろう」と考えました。

現在の状況

アジャイル型の開発で
チーム力が向上

現在はスタートアップ企業向けのシステム開発をメインに行っています。お客様と一緒に設計するところから始まり、そのまま並走してアジャイル型で開発を進めています。自分たちもスタートアップであることと、これまでのプロダクト開発経験を活かし、とことんお客様とぶつかって改善を重ねることを心掛けています。それによってチームの技術力や経験値が向上し、プロダクトにも活かせているので良いバランスが保たれていると思います。時間やお金などスタートアップならではの制限も、よりプロダクトに磨きをかける糧になっていると考えています。また、システム開発以外にも、JR会津若松駅近くに「creative cafe REQUEST」というITカフェをオープンするなど、自分たちのビジョンを元に事業の幅を広げています。

創業してよかったこと・今後の目標

事業と学問、
多彩な経験を生かしていきたい

これまでを振り返ってみると、起業してから半年に1つは新しいサービスを出してきました。自分たちのビジョンと技術力を生かしてサービスを作る過程では、いろいろな課題をクリアしていく必要があります。それら1つひとつの経験が、次のサービスに生かされている実感がありますね。私たちの活動は「心の健康」や「みんなが楽しく生きていく」というところではすべて共通していると思います。今後、私は博士課程への進学を考えています。アカデミックな分野とプロダクトを関わらせて、その経験を事業にも生かしてみたいと考えています。

取材・撮影場所:会津大学先端ICTラボ(LICTiA)・会津大学研究棟

※記事の内容は取材当時のものです

明確な価格体系で地域の方々にWebサイトを提供

お話ししてくれた方:野口 雄介さん(代表取締役)

会社名株式会社スタンダード
代表者野口 雄介
業種Webサイト制作
事業概要Webサイトの制作・運用保守。「安く・早く・品質はしっかりと」がモットー。
設立2008年4月
所在地東京都千代田区(本社)
企業サイト https://standard-co.jp/
https://www.fukushima-web.com/
UBICの支援
会津大学発ベンチャーの称号付与
UBIC研究開発室・ブース型オフィスの利用
先端ICTラボのプロジェクトルームの利用
先端ICTラボのリソースの利用
会津大学の住所を法人登記の住所として利用
起業相談
特許相談
その他

創業のきっかけ

地域の方々の
お困りごとを解決したい

父方一族が事業を営んでいたこともあり、子どもの頃からいずれは独立することを考えていました。そのため、会津大学在学時から、先輩らが起業したベンチャーでシステム開発のアルバイトをしたり、また、当時の創業社長が所属する地域の経営者の集まりや経営に関する勉強会等にも積極的に参加していました。会津大学卒業後はSE(システムエンジニア)として横浜や都内で働いていましたが、アルバイト時代お世話になったベンチャーの社長からお声がけをいただき会津に戻り、改めて地元の企業と交流していくなかで、パソコンやインターネット、特にホームページに関してお困りの方が多いことに気付きました。その当時はホームページ制作の価格が分かりにくかったり、デザインや品質に難のあるサイトも多かったりしました。この課題を解決するために、まずは個人事業主として「低価格・高品質をコンセプトにしたホームページ専門の制作会社」を立ち上げました。大学時代から知り合いのお店のWebサイトを作成していた経験もあったので、この事業ならすぐにお役に立てるだろうと考えました。

創業時に工夫したこと、大変だったこと

信頼の獲得と
方針転換のジレンマ

当時の地方企業はインターネット関連の企業に対して懐疑的な見方をする方も多く、まずは信頼できる事業者だと思ってもらうところからのスタートでした。顧客を何度も訪問し、ときには利益度外視のサービスも提供。そうして認知度・信用度を積み上げていきました。その後、品質を維持しながら企業として利益を上げていくために「訪問せず、メールやネットでヒアリングし、制作を任せてもらう」というWebのみで完結する制作スタイルに転換しました。これは起業当初と真逆の方針だったので周知・徹底に苦労しました。そんななか、会津大学発ベンチャーの称号や、会津大学内(UBIC)に拠点があることは、お客様に信頼感や安心感を持っていただくのに非常に効果的でした。また、この方針は、その後のコロナ禍での対面が制限された時期にも、お客様に変わりなくサービスを提供する上で大きな効果を発揮しました。

現在の状況

価格とサービスの明確化で
地域に浸透

創業当時は主力サービスのWebサイト制作以外にも、ECサイトの制作保守やリスティング広告の企画・運用、Webマーケティング等、インターネット関連の相談を幅広く請けていました。しかし現在は事業の最適化・効率化のため、ホームページ制作に注力しています。地域に密着した「福島ウェブ」「仙台ウェブ」等を主力サービスとし、Webのみで完結する特徴を活かした全国向けの「まるごとおまかせHP制作パック」も展開しています。お陰様でこれまでに約600のサイトを作成し、2020年には東京オフィスを開設、法人登記することになりました。

創業してよかったこと・今後の目標

地方企業により
最適なソリューションを

私がこの仕事を始めた当初は、地方で信頼できるホームページ制作会社を見つけるのは簡単ではありませんでした。オーダーメイド制作が主流で、価格も不透明ななか、当社がWeb制作の価格を明示しひとつの指標を作れたことは意義があったと思います。しかし、まだまだホームページがない企業も多くありますし、各種SNS、ノーコードツール、生成AIなど、インターネットで情報を発信する手段・サービスが多様化・複雑化している状況もあります。今後も、低価格で高品質なホームページ制作を主軸にしながらも、地方企業にとって最適な、シンプルかつ効果的なソリューションを提供できるよう、サービスの改善をしていきたいと思っています。

取材・撮影場所:会津大学先端ICTラボ(LICTiA)

※記事の内容は取材当時のものです

先端技術を活用した研究開発の事業化を目指して

お話ししてくれた方:久田 雅之さん(代表取締役所長)

会社名株式会社 会津コンピュータサイエンス研究所
代表者久田 雅之
業種ソフトウェア開発
事業概要ブロックチェーン、AI分野における研究開発など。
「世にない新たな知識・技術を創出することで社会の役に立ち⼈々を幸せにすること」が会社の理念。
設立2019年4月
所在地福島県会津若松市
企業サイト http://www.aizucsl.com/
UBICの支援
会津大学発ベンチャーの称号付与
UBIC研究開発室・ブース型オフィスの利用
先端ICTラボのプロジェクトルームの利用
先端ICTラボのリソースの利用
会津大学の住所を法人登記の住所として利用
起業相談
特許相談
その他:共同研究、知財共同出願(特許取得)

創業のきっかけ

初代学長の思いを胸に、
会津で上場企業を目指す

私は会津大学の1期生です。学生時代に触れた会津大学初代学長の國井利泰先生の「会津にシリコンバレーを作る。地元の人が願う上場企業を作る」という言葉が忘れられず、会社員や大学教員を経て2007年に株式会社会津ラボを設立しました。会津ラボは「会津大学発ベンチャー第1号」にも選ばれ、クラウドを活用したシステム開発を中心に事業を拡大。2014年には東証一部上場企業に全株式を譲渡し、イグジットを果たすことができました。そして2019年に私自身2度目の起業として、より高度な先端技術を活用した研究開発を会津大学と共同で進め事業化することを目指し、株式会社会津コンピュータサイエンス研究所を設立しました。

創業時に工夫したこと、大変だったこと

強烈な逆境のなかにも
ビジネスチャンスが

2度目の起業からすぐに新型コロナウイルス感染症の大流行に直面したことで、事業活動は事実上停止せざるを得ませんでした。資金・人材の確保が困難となり、事業計画を大幅に変更。当初予定していた研究も思うように進められなくなりました。一方で、コロナ禍でのビジネスチャンスを模索し、新たな研究開発にも取り組みました。なかでも「3Dカメラを活用したソーシャルディスタンスの評価及び可視化システム」は「会津産IT技術認定」(会津若松市)大賞や「第11回地域再生大賞」(地方新聞各紙・共同通信社)優秀賞を受賞するなど高い評価を受けました。

現在の状況

再生可能エネルギーの
マネジメントと海外連携

福島県の再生可能エネルギー関連の補助金を新たに取得し、実用化に向けた取り組みを開始しました。これは「エネルギーマネジメント向け学習・推論に特化した AI チップの研究開発」を主軸にした事業で、AIチップによってより柔軟な設備の全体制御を可能にし、再生可能エネルギーの効率的な利用によって福島復興の後押しをより一層強化していきます。また、この技術を使い、太陽光で得た電力だけで冷凍食品の自動販売機を運用を始めます(画像)。また福島県が連携協定を結ぶドイツ・ノルトラインヴェストファーレン州の企業と積極的に連携活動を行い、国際的な事業展開を目論んでいます。

創業してよかったこと・今後の目標

起業は周囲のみんなを
幸せにする

起業は自身の経験・技術・知識を社会の役に立てることです。その結果、会社が収益を上げ国に税金を納める。自らの努力で周囲に良い連鎖を生み出し、みんなを幸せにするのが起業だと考えています。現在は創業時に予定していた当初の研究開発を進めつつ、関連して広がったテーマについても幅広く事業化に向けた取り組みを進めています。國井先生が思い描いた「会津にシリコンバレーを作る」また、地域の願いでもある「会津から上場企業を」をという夢。自らがそれらを実現すべく、最先端技術を活用し、会津大学との共同研究を進めながら、世の為、人の為、地球の為の活動を精一杯進めて行きたいと思います。

取材・撮影場所:会津大学先端ICTラボ(LICTiA)

※記事の内容は取材当時のものです