産学連携

Ran's Night (共同研究)について

長野県上田市に本社のあるキュー・オー・エル(QOL)株式会社は女性の基礎体温測定を簡便に行いたい、と考えていました。基礎体温は、通常、朝目覚めた時に布団の中で動かずに体温を測定し、それを数ヶ月継続して行い、体温の日毎の変化をグラフに示す、という面倒な作業を必要とします。社では、寝ている間に体温を測ることが最も簡便と考えました。ところが睡眠中に体温計を皮膚に密着しておくことは不可能で、測定結果は何を測っているのか分らない様な状況でした。これを解決するためにQOL社は会津大学に技術支援を求めて来ました。

 会津大学の陳上級准教授は信号処理技術を専門としており、雑音に埋もれた信号を雑音から分離する事を得意としています。さらに、陳先生はこの信号処理技術を医療分野に応用する事に主眼を置いて研究しています。すなわち、体温、脈拍、呼吸、血圧等の生体信号を抽出して近距離無線技術(ブルートゥース技術)で携帯電話に送り、携帯電話でその信号をサーバに送信するシステムの研究開発を行っています。QOL社のニーズは雑音に埋もれた信号から体温信号を抽出し、それを日々記録して長期間の体温変化を知ることです。QOL社のニーズと陳先生の研究テーマとは完全にマッチングしているので、QOL社の技術課題を共同研究で解決することになりました。

 3年間の共同研究の結果、陳上級准教授は雑音だらけの測定データから信号処理技術を駆使して日々の体温変化のデータを抽出することに成功しました。さらに、計測データをQRコード化し、これを携帯電話で撮影してサーバに送信・蓄積するシステム設計を行い、システムをユーザフレンドリなものにしました。こうして誕生したのがRan's Nightです。商品は長径7cmの卵型で厚さは1.5cm。これをパジャマに挟み、寝ている間に体温を測定します。Ran's Nightは「2008年第2回キッズデザイン大賞(経済産業大臣賞)を受賞しました。1個13,440円で、今までに約1万個の販売実績があるそうです。

 詳細については、こちらの資料(PDF形式)をどうぞ。